クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「まったく、酷い話ですよね。あなたが聖なる力を失った途端、禿エロ親父に売りつけるようなことをして」

 ティメルが口にした禿エロ親父が、あのパエーズ卿のことを指しているのだろう、というのはなんとなくわかった。

「デーセオ様は、レーニス様を助けたいと思っております」

「助ける?」
 レーニスが尋ねると、ティメルはゆっくりと頷く。

「私たちは知っています。レーニス様が他の聖女様たちが引き受けないような祈りや解呪も、自ら進んで引き受けていたことを。お金の無い民たちにも祈りを捧げていたことを」

 デーセオの優秀な部下であるティメルは、彼女が今まで裏で行っていたそのことまでも調べ上げていた。

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