クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「おはようございます、奥様」
 サンドラが数人の侍女を従えてやってきた。

「おはよう。着替えを頼めるかしら。できれば動きやすいものを」

 デーセオが急いで準備してくれたという数あるドレスの中から、直しが終わってレーニスに似合いそうなそれをサンドラは選んでくれた。

「サンドラ、その、旦那様はもう、お出になられたのかしら」

 レーニスの言葉を耳にしたサンドラの手が止まる。

「ええ。朝食を終えましたらすぐに」

「お見送りもできずに、申し訳ないことをしました」

「いいえ。そのようなことはありません」
 サンドラが口にすると、なぜか他の侍女たちも一斉に頷いた。
 そう言ってもらえるだけでもレーニスの心は救われた。

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