クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「奥様。こちらにいらっしゃると伺いましたので」

「どうかしましたか?」
 ティメルもレーニスの変化になんとなく気付いた。力を失っておどおどとしていた元聖女候補ではなく、ここにはこの領主デーセオの妻がいる、と。

「奥様の知恵をお借りしたいのですが」

「私でお役に立てるのであれば」

 どうぞ、とすすめているのは、恐らくティメルに座りなさいと言っている。それと同時に侍女がお茶の準備を始めるので、たった数時間で彼の妻らしくなったなと思わずにはいられない。

「このフルヘルト領には飛竜が生息しています。落ち着いたときにご案内しようと思っていましたが、少し離れた場所に飛竜のための飛竜舎と、竜騎士たちの宿舎があります」

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