棗くんからは逃げられない

「おうい、誰か買い出ししてきてくんねー?」

教室でそんな声が響いて顔を上げる


皆忙しくてそんな余裕はなさそうだ


「は、はいっ!私、行く…」

手を上げて、呟く


「あ、柴ちゃん頼む!」

そう言って紙切れを渡された


文化祭の準備で足りない物の買い出し


一人で行けるかな……


「一人では行かせんよっ!」

とす、と琴羽が抱きついてきた


「は?琴羽は仕事やれよ、終わってねぇんだからさ」

「はぁ!?実乃梨を一人で行かせろって!?無理っしょ」

「あー、んと………じゃあ、あいつ行くんじゃね?」

適当に指さされたのはやる気なさげに手を動かしているクラスメート
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