偽装結婚の行く末
「遠藤さん、先週はありがとうございました。楽しかったですね……」
週明け、遠藤さんを見かけて小走りで近寄った。
すると見えなかった壁の向こうから佐久間の姿が見えて、あたしは思わず佐久間を睨んだ。
「佐久間、あんた遠藤さん泣かせたらビンタだから」
「いきなり物騒かよ。間に入ってきたのそっちじゃん。
てか白井も先週仁奈と遊んだの?仁奈、前川さんだけって言ってなかった?」
佐久間は眉を上げて驚いた仕草をしながら遠藤さんの顔を覗き込む。
「急に決まったけど、女同士だから言わなくていいかなって」
「言わなくていいけど、やけに張り切ってメイクしてたから俺不安だった。
服もすげー悩んでたし」
「……言わないでよ」
実は遠藤さんもあたしと一緒で、裏でいろいろ悩んでいたみたい。
それをあたしに知られた遠藤さんは口を尖らせて佐久間を睨む。
不意に外れた敬語がかわいい。
マジでギャップの塊だなこの人。