偽装結婚の行く末
1時間以内で帰れる道のりを2時間かけて帰った。
自分の家に帰っても良かったけど、6年前みたいに昴と仲違いしたくない。
存在ごと消されたみたいな、あんな思いはこりごりだ。

でもどうしよう、合わせる顔がない。


「……ただいま」

「おう、おかえり」


案の定昴は家の中にいて、リビングでノートパソコンを開いて仕事をしていた。
普通に出迎えてくれたけど、全然こっちを見てくれない。
怒ってるのかな、顔色を伺うと端正な横顔が急にこっちを向いた。
そしてなぜか昴の口元がゆっくり弧を描いていく。


「なんで笑ってんの?」

「頭冷えたか?」

「あ、うん……少しは」


相変わらず質問に答えてくれない。
それなのにこっちをちらちら見ながら笑って感じが悪い。


「だから、なんで笑ってんの?」

「俺に八つ当たりしないようにわざわざ遠出して帰ってきたんだろ?」

「……そうだけど、何?」

「お前、いじけ方かわいいな」


バカにしたような、それでいて満足気な顔。
なんなの?ちゃんと反省したのにバカみたい!
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