偽装結婚の行く末
「見習うって?あんな女たらしのどこを?」


当時の昴は女癖が悪かった。
大学に在学中、起業するにあたって相当なストレスがあったらしいけど、そんなの知らなかったから嫌悪感を抱いてた。


「交友関係じゃなくて勉強よ。あんた大学行けるの?この前の模試の結果見せてもらってないんだけど」

「……うるさい」

「親に向かってうるさいって何?はぁ、こんなことなら高校行かせるんじゃなかった。
もっと律にお金かけてあげるんだった」

「じゃあそうすれば?あたしこの家から出ていくから」

「美優?……待ちなさい、美優!」


多感な時期に自尊心はボロボロ。たまらず家を飛び出した。
そのまま本当に家に帰らず、友達の家を渡り歩いて1ヶ月が過ぎた頃。
夏休みの終わりかけ、全く顔を合わせてなかった昴があたしに逢いに来た。


「お前、お母さんに迷惑かけて何やってんだよ」

「うるさい黙れ」

「みんな心配してるから帰れよ」


頭をなでる手つきは子どもの時と変わらない。
懐かしさが苦しくてその手を振り払った。


「そうやっていつまでも子ども扱いしないでよ!
あたしだって頑張ってるのに、あんたがいるから評価されないの!」

「……」

「関わらないでよ、お願いだから……」

「わかった」


泣きながら懇願したら、昴はそれだけ言ってあたしから離れた。
それ以来昴はあたしに関わらなくなった。まるであたしの存在が最初からなかったみたいに。
自分が撒いた種とはいえ、すごく傷ついたのを思い出す。

それが6年前の話なのに、まさか今じゃ昴の偽婚約者だなんて、人生何が起こるか分からない。
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