偽装結婚の行く末



翌週、昴はあたしを連れて植林のイベントに連れてきた。
どうやら今日ここに、三村グループの会長夫人が来るらしい。
夫人は植林活動に力を入れてるとかなんとか。

昴ってこういう情報、どこで仕入れて来てんだろ。


「どうした美優、緊張してきた?」


隣に立つ昴を見上げると、勘違いしたらしくやんわり腰を抱いてきた。
特に意味は無いのにドキッとしてしまって悔しい。


「緊張はしてないけどさぁ、無理じゃない?
この人だかりの中で近づくなんて」

「無理って言いながらこの前も華麗にぎゃふんと言わせてやってただろ」

「だからそれとは違うって……わっ」


その時、強い風が吹いてあたしはとっさに昴の腕に掴まった。
強風に煽られてよろける。
すると視界の隅で、女性用の帽子が飛んで近くの木に引っかかったのが見えた。


「昴、荷物持ってて」

「……あの木、美優の体重に耐えられっかな」

「腹立つ、失礼なやつ!」

「登るのはいいけど落ちるなよ、何かあったら俺が抱きとめてやるから」


誰のか分からないけど取ってあげよう。
良心が働いて昴に荷物を預けたら昴はいつもの調子でからかってきた。
最終的に心配してくれたからそれが本心なんだろうけど。
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