僕らは運命の意味を探していた。
司令官は簡潔に活動内容をまとめ、みんなの意見を求めた。そしていち早く反応したのは紗南だった。

「という事は、真道もイジメに加担していたのか……?」

「ううん、紗南ちゃん。マー君がイジメ過去はないよ。」

 あきが珍しく反論をした。

 僕にとっては嬉しい事だが、そんなにはっきりと否定して大丈夫だろうか。

「あきが記憶ある事は知ってるけどさ、何でそんなにはっきり言えるの? もしかしたらあきのいない所でやってるかもしれないじゃん。」

「だって、マー君友達いないもん。それにマー君にそんな度胸ある訳ないしね。」

 あきは微笑みながらそう言った。

 紗南もそれ以上何も言い返す事はしない。多分、あきの記憶の信憑性を認めたからだろう。

 僕にとっては、心を抉られるような会話だったが、信じてもらえたのならそれで良かった。

 その後も円滑に報告会は進み、何事もなく終わりを迎えた。

 各々が疲れを癒すために睡眠の時間を取りにいった。そのとき教室には僕ら二人だけになった。

 全く気まずさは無かった。あそこまでハッキリと言われたことで逆に清々しくなっていた。

「なあ、あき。」

「ん? どうしたの?」

「僕さ、何か酷い行いをした事、あったのか?」

 それは、僕があの頭痛の後からどうしても聞きたかった事だった。

 もしあるのだとすれば、僕がここにいる理由になるような気がした。

 無いのであれば、何か他の過ちによってここにいると断定できる、僕はそう思った。

 心臓の動悸を聞き流しながら、彼女の返答を待つ。しかし僕の心持ちとは裏腹に、彼女はあっさりと答えた。

「無かったよ。何も。」

「本当か?」

「本当だって信じてよ。私が嘘ついた事なんてあった?」

「まあ……、無いな……。」

「でしょ? 信じて大丈夫だよ。」

 そこまで言うなら、信じても良いのかな・・・・・・?

 やはり自分の記憶がないという恐怖で人を疑ってみてしまう。それが最低なことだと分かっていても、本能的には逆らえなかった。

 それから、少しの間他愛もない話をして彼女は眠りについた。

 昼寝のせいか、僕に関しては一向に眠れそうになかった。

 僕は彼女の寝顔と夜空の星々をじっと眺めながら、その時を待った。
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