僕らは運命の意味を探していた。
 彼女の溢れる涙を、右手で優しく拭き取ってあげたりもした。

「ずるいよ……。こういう時だけさ、いい男になるんだもん……。いつも好奇心の塊みたいに突っ走るのに……。」

「でも、それをひっくるめて春原真道って人間なんだよ。」

「そうね……。そんな春原真道だから、私も好きになったのかもね……。」

 あきの何気ない告白に、僕の心が盛大に反応した。

 意識せずにはいられなくなって、無言の時間ずっとあきを不自然に見てしまっていた。

 変な気まずさに耐えられなくなった僕は、話を続けるようにして言った。

「僕もさ、あきの事好きだよ。」

「両想いだね、私たち。」

 あきは少し照れた様子を見せていた。

 女心のわからない僕でも何の言葉を待っているか容易に想像できた。でも、どうしても言えない理由があった。

「あきさ、僕の記憶が戻るまで待っていてくれないか?」

「別にいいけど。どうして?」

「やっぱり、途切れ途切れの記憶じゃなくて、完璧な記憶の状態で、君に気持ちを伝えたいから。」

 あきはおもむろに立ち上がり僕の目の前で。
「うん。待ってる。」

 そう、向日葵のような表情を僕に見せてそう言った。

「そろそろ帰ろっか。」

「そうだね。」

 僕の提案に彼女は乗っかって、二人は手を握り合い、夜の田舎道を歩いて帰った。

 基地に戻った後、三人の雷が落ちたのは言うまでもない事だった。
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