僕らは運命の意味を探していた。
 それから一日後。

「なあ司令官、どうだった?」

 日も落ちて、僕らの視界に、制限が掛かる時間帯になった。五人は躍起になって、十三枚の重要な紙きれ探していた。

 僕はたまたますれ違った司令官と情報交換をした。

「こっちには何もねえよ……。どうするよ、校舎内は、ほぼ探しきったんじゃないか。」

 司令官は息が上がっていた。恐らく始終走り回っていたからだろう。

 しかしその甲斐虚しく、有益な情報は得られていないようで、司令官からは焦燥感が漂っていた。

「手当たり次第で探すしかない。何としてでも見つけないと、僕ら全員お陀仏だ。」

 残り五日。タイムリミットが迫る中で、こんな無駄な事に時間を使っていられない。

 考えろ。

 今まで感じた違和感を全部、隅から隅まで感じ取れ。

 ん? そういえば、あいつって今どこにいるんだろう。

 定例会議ぐらいしか顔出さないから、会話すらまともにしたこと無いんだよな。

「あき。友花見たか?」

 視線の先には司令官同様、急いで教室移動をしている様子のあきがいた。

 髪の毛や制服が乱れ切っている。それだけ時間に余裕がなかった。

「見てないけど、それがどうかしたの?」

「ん…………。あいつの話を聞きたいんだよな。今までどこにいて、昨日の晩はどうしていたのか、とかさ。」

 聞きたい話が腐るほどあるのに、肝心の回答者の所在が分からない。

 会議の段階で聞けばよかったのだが、司令官の後先考えない行動で、機会が無くなってしまったのだ。

「あー……。司令官、突っ走ってたもんね……。そりゃ言えないよね……。」

 あきは、あからさまな呆れ顔で返してきた。

「とりあえず、友花を探してみようと思うんだけどさ、手伝ってくれないか?」

「もちろん‼ どこまでだって付いて行くよ。」

「うん。ありがとう。」

 彼女の笑顔はまるで、砂漠の中にあるオアシスのようなものだった。

 砂漠という過酷な環境の中で、オアシスの水を頼りに歩く旅人に、僕が重なって見えた。

 手を取り合って、休憩がてら廊下を歩いた。

 薄暗い廊下に月明かりが差し込んできている。心休まる雰囲気の中で安心できるパートナーが隣で笑顔を浮かべてくれていた。

 
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