僕らは運命の意味を探していた。

希望は、もう死んでいる

「……っと、そろそろ時間だから戻るか。」

「そうだね。手、繋いでこ。」

 僕らはお互いの手を取り合って、二人の待つ基地に戻っていった。

 十五枚目まで見つかって、何となく日記の内容も変わってきた。

 恐らく、高校に上がった頃のものに変わったためだろう。その内容から読み取れることもある。

 特に十四、十五枚目が顕著に表れている気がした。

「五月十日、金持ちの息子が威張り散らしている。反論したら目を付けられた。ヤバいかも……。だってさ。」

「五月十二日、今まで友達だった人たちが、金持ちの息子に寝返った。皆で僕の事を攻撃してくる。だってよ。」

 僕らは会議の中で、見つけた紙の情報を見せ合い、考えを共有し合う。いつもの流れだ。

「金持ち息子は、あいつの事だろうな。」
「そうだね。あいつ以外いない気がする……。」

 名前も知らないあの男の印象としては、初日に哀れな姿で黒い渦に飲み込まれた、それだけの希薄なものだった。

 肝心な僕を含めた三人の記憶としては、依然変化ないまま。もしかして戻らないのかもしれない、そんな不安さえ感じるようになってきた。

「そう言えば、十二って書いてある紙ってなんか変化あったか?」

「いいや、全くないぞ。見つけた時のまんまだ。」

 僕個人、一番期待値の高い物として、このメモがあった。

 見つけてから数日経つが、何ら不自然なところは見られない。

 何でもいいから手掛かりでも出てきてくれたらいいのに、そう僕は思っていた。

 「まあ、こんなもんだろう。今日は解散、また明日な。」

 司令官が切り上げると、メモを机の中に仕舞い、各々の就寝ポイントに着く。

 誰がどこで寝ているのか、確実に把握しているわけでは無いが、僕とあきは教室か昇降口前の階段で寝ている事が多い。気分によってそこは変えていた。

「おやすみ、マー君。」

 今日は教室。固い床に寝そべり、二人並んで就寝した。

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