内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
『姉ちゃん、いったいどこにいるんだよ。いい加減に教えろよ!』

『ごめんごめん。そのうち会いに行くからさ』

 そのうちがいつになるか、まだ答えは出ていない。

 悠との繋がりが完全に切れたという自信がつくまではもうちょっとだけ、私には時間が必要だ。

 アパートに帰る途中、ATMでお金を下ろし、通帳に記載された残高表示に思わずため息が漏れた。

「はぁ」
 仕事探そうかな。

 つい最近まで高齢者向けのお弁当の配達をしていた。

 三時間だけだし、晴太を一緒に連れていてもいいという条件だったので迷わず決めたけど、晴太が急に熱を出して仕事にいけない日が続き、やんわりとクビになってしまった。

 情報誌のポスティングのバイトとか、晴太が一緒でもいい仕事を見つけては、ちょこまかと色々やっているけれど、なかなか現実は厳しい。

 悠のお父さまからいただいたお金があるから働かなくても生活はできるけれど、なるべく手を付けつけずに、いずれ晴太に渡したいと思っている。

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