内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
『あーー。うーん。姉ちゃんの子みたいなんだけど。なんかよくわかんなくて……』

「千絵の子なんだな?」

『うん。それは間違いないよ』

「結婚はしてないんだろ?」

『してない、してない』

「子どもの歳は?」

『もうそろそろ一歳』

「わかった」

 電話を切って、ネットで検索する。
 まさか自暴自棄になったりしたんじゃなければ。

 十二月中旬に生まれた子は――。

 ハハッ。

 一気に力が抜けた。
 千絵、君って人は本当に。

 どうしてそうやって抱え込むんだか。

 全部、僕のためとか思っているんだろうな。
 笑って大丈夫だよって言うんだろう?

 なぁ、千絵。

 僕にとっての幸せとか、それがなにかなんて一生懸命考えて。
 でも肝心な自分のことなんて忘れていて。

 千絵、君がどんなに大切か。
 どれほど重要な存在か。

 僕はまだ、君に伝えられていなかったんだ。
 まさかあんなに早く消えるなんて思っていなかったから……。

 ごめんな。

 しばらく呆然と立ち尽くし、気持ちを落ち着けた。

 さて、買い物にいかなきゃな。

 引っ越しの挨拶でも買いにいこう。赤ん坊のおもちゃも一緒に。

 僕と千絵の子どものために。


< 127 / 158 >

この作品をシェア

pagetop