内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
「行ってきまーす」

「はーい。よろしくね」

 私の仕事はフローリスト。と言えばなんとなくかっこいいけれど、花屋の店員だ。

 店の名前は『紫Viola』。就職して今年で三年になる。
 現在の主な仕事は担当しているお客様へのお花のお届けと、相手先で活けてある花の交換や手入れなど。

 空いている時間は店頭での接客もしなければならず、朝は早いし、かといって夜も遅かったり、なんだかんだと忙しい日々を過ごしている。

 今日最初の仕事は、オフィスビルのお花のアレンジメントだ。

 ここでは二種類の花を契約している。受付のカウンターに置くアレンジメントをひとつと、もうひとつはエントランスロビーに飾っているに大きな飾りつけ。

 受付用の花はお店で創作してきたものと入れ替えるだけだからすぐに済む。
 問題はエントランスロビーにドーンと飾った、梅の木を使ったアートフラワーだ。

 こっちは枯れそうな花を取ったり、修正したり、ポンプを使ってお水の入れ替えなど時間のかかる作業になる。

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