内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
 ダークな赤系のネクタイが良く似合ってるね。

 それにしても、これほど素敵な大人の男性に成長するとは。

 メガネをかけていないせいか綺麗な目もとが際だって、イケメンぶりに本当に驚いてしまう。

 対して、私はそのまんま大きくなっただけだ。
 見た目も性格も比例グラフみたいに、年相応になっただけ。

「千絵はやっぱり早いね」
 時計を見た悠は「変わってないな」と笑う。

 彼は思い出したに違いない。
 一緒に過ごしたあの頃、私はいつも急かしていた。早く遊んでよ、早くこれを教えてよと、常になにかをせがんでいたから。

「ふふ。私、せっかちだからね」

「でも、朝とは随分雰囲気が違うなぁ」

「そりゃそうよ。こーんなおしゃれなレストランで、久しぶりに悠に会うんだもん。かんばったんだよ」

 買ったばかりのワンピースは、トマトソースがついても目立たないよう紺色にした。色は落ち着いているけれど、デザインは凝っていてウエストの高い位置についたリボンがとってもかわいい。

 思い切ってパンプスもバッグも新調したし、髪だって美容院で整えてきた。

< 30 / 158 >

この作品をシェア

pagetop