内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
「あ! どうしよう。き、貴重なラナンキュラスが」

 花を残して五センチくらいしか茎が残っておらず、これでは花束に使えない。

「いいよいいよ。レジカウンターに置こう」

「――はい」

 小さな白い器に水を張り、すっかり短くなってしまったラナンキュラスと半端に残っているグリーンを挿す。

 薄いピンクから外側に向けて白くグラデーションに変わっていくラナンキュラスはたとえ一輪でも豪華だし、とってもかわいいが、そういう問題じゃない。

「すみません、店長」

「調子悪そうだし、今日はもういいから、ヒサ君が戻ってきたら帰りな」
 店長は、ぽんぽんと私の肩を叩く。

「年末からずっと忙しかったしね。有休も最近取っていないでしょ?」

 疲れているのは嘘じゃないけれど、ごめんなさい店長。違うんです。
「すみません、そうさせてもらいます」

「はい。そうしてください」

「あ、店長」

< 54 / 158 >

この作品をシェア

pagetop