内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました

 目覚めの悪い朝を迎えるのはいつもと同じ。

 気持ちよく目が覚めた日などあっただろうかと考えて、千絵を思った。

 千絵を腕に抱き、温もりと甘い香りに包まれながら目覚めたときは、いつもの朝など忘れていたな。

 だが、このベッドに千絵はいない。

「はぁ……」

 のっけから憂鬱さをぶら下げたまま、着替えを済ませてスマホを手に取った。

 朝六時だが、かまわず千絵にメッセージを送る。

【週末、一緒に食事をしよう】

 既読はすぐについて、了解という返事とともにウインクをしたスタンプがつく。

 クスッ。
 千絵は変わらないな。太陽のような明るさも、素直さも。


 ダイニングルームに向かうと、クラシックが聞こえてくる。
 この家では食事中はクラシックを流すと決まっていて、それは僕がこの家に来た時からずっと変わらない。

「おはようございます」

「おはよう、悠さん」

「にーに、おはよー」
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