内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
 義母の両脇で、四歳になる双子の兄妹が満面の笑みを浮かべて手を振る。

「おはよう」

 最後に父が席につき、朝食がスタートする。

 会話はない。食事はゆっくりとひと口ずつ味わい、食後のコーヒーが出てくるまで会話をするのはマナー違反になる。

 運動は欠かさず、専門誌を含め新聞は毎朝読む。
 様々な習慣も十五年続けているうち、無意識でしてしまうほどに馴染んだ。

 黙食は否が応でも食事に集中するので、味覚は研ぎ澄まされた。野菜の旨味や肉の味わいなど、些細な違いにも気づく。

 新聞も読み慣れてくるとネットよりも紙が目を通しやすいし、寝る前のストレッチのおかげで気持ちよく眠りにつけるようにもなった。

 だからといってこれが最高の朝とは思わないが。

 朝食が終わり、使用人によって食器が下げられてコーヒーが出てくると、義母がおもむろに「悠さん」と振り向いた。

「結婚の話は進みそう? 今日ね、カレンさんのお母さまに会うかもしれないの」

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