内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
 そのほかにもガラガラくじの当たりに、花籠も用意するという。お客さんの目を楽しませるために、その場で作っているところも見せたいらしい。

「まあ、夕方まで一日がかりになるわね」

 なんだって!

 ショックのあまり、危うく顔が引きつりそうになるのをこらえる。

「チョコレートの香りがする入浴剤と石鹸もあるんだってよ」

「へえー。風呂のお湯、チョコレート色になるんすかね」と、ヒサ君が感心する。
「風呂で腹が減りそうだな」

「まったくもう、色気ないわね。早く彼女見つけてお風呂でいちゃいちゃしなさいよ」

 店長に突っ込まれて、ヒサ君はセクハラだと怒る。

 私はといえば、心臓が高速で高鳴った。
 ゆうべも、悠とバスタブでイチャイチャしたのだ。

 シルKUの製品である薔薇の香りのする泡風呂で、体を洗いあって。というよりは、洗ってもらって。

 それはもう、念入りに……。

「じゃ千絵ちゃん、よろしく。仕入れの方は手配済みだけど、チェックしといてね」

「あ、は、はい。了解です」
 まさか、副社長がイベントに参加したりしないよね?

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