内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
 やっぱり悠とは一緒にいたいと思ってしまう。

 体の関係を持ってしまったのは失敗だけれど、悠は私にとって家族のような存在だから。
 この手をふりほどく、勇気がでない。

「なにが食べたい?」

「うーん。そうだなぁ。千絵の得意料理は?」

「得意ねぇ、カレーとか?」

 市販のルーのだけど。

「じゃあカレー」

 本当にそれでいいのと笑い合いながら、ふと思った。

「そういえば悠はいつから一人暮らしなの?」

「基本は実家暮らしなんだけど、ときどきマンションで過ごしてる」

 どうして? と聞きそうになり、ぐっとこらえる。
 悠といると、ついつい質問責めにしてしまう。

「そうなんだ」

「着替えの服、買ってあげるよ」

「えっ、いいよ。っていうか食べたら帰るし」
 なにを言うかなぁ。

「そっか。わかったけど、買うだけ買ってあげるよ。カレー作ってもらうお礼にさ」

「いいよ別に、カレーくらい」

 それに私、買ってもらったところで着る機会はないだろうし。

「つまんないな。せっかく女の子の買い物が楽しめると思ったのに」

「なにそれ」

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