地味子、学校のイケメン二人と秘密の同居始めます！

　「ぱぱぁ、ままぁ・・・。どこに行っちゃったのぉ・・・」
　甚兵衛(じんべえ)を着た五歳くらいの小さな男の子が、うつむいたままヒシッと私の足にしがみついている。
　パパとママを呼んでいるあたり、迷子なのかな？
　もしかしたら、この人混みとかで両親とはぐれちゃったのかも。
　「大丈夫？お父さんとお母さん、どこかに行っちゃったの？」
　「うん・・・・・・」
　通行人の邪魔にならないよう道端に移動する。
　しゃがんで男の子に話しかけると、目線が重なった。
　潤んだ瞳が、不安そうに揺れている。
　「お名前、なんていうの？」
　「・・・・・・ユウキ」
　「そっか。私は絢花、そしてこっちのお兄ちゃんが魁吏くんだよ」
　「あやかちゃんと、かいりくん・・・？」
　「そう」
　ユウキと名乗った男の子に私たちの名前を伝えると、ユウキくんは復唱しながらこてんと首を傾げた。
　うっ、可愛い。
　こんなこといってる場合じゃないんだろうけど、でもやっぱり可愛い。
　隣に立っていた魁吏くんも、威圧感を与えないようにかユウキくんの身長に合わせてしゃがんだ。
　「ユウキ、今日はお父さんとお母さんの三人で来たのか？」
　「うん・・・。あのね、ずっとパパとママと手を繋いでたのに、ぼくが走っちゃったせいでどこかに行っちゃったの。ごめんね、ぱぱ、ままぁ・・・」
　はぐれた経緯を私たちに教えてくれたあと、とうとうユウキくんは泣き出してしまった。
　そんなユウキくんの頭を、魁吏くんは安心させるかのように撫でる(なでる)。
　その手付きはとても穏やかで優しい。
　魁吏くん、意外と子どもの面倒を見るのが上手なんだなぁ。
　新たな一面を発見。
　「ユウキ、大丈夫。お父さんとお母さん、見つけるから。な？」
　「本当？」
　「本当だよ」
　不安そうな眼差しで私たちを見つめるユウキくんが安心できるように、なるべく優しくて穏やかな声で返事する。
　すると、ユウキくんは泣き止んで天使のような笑顔を見せてくれた。
　「あやかちゃん、かいりくん、ありがとう！」
　本当に可愛いなあ。
　ちらっと魁吏くんの顔を見ると、いつもより穏やかな表情になっていた。
　魁吏くん、子ども好きなのかな？
　「魁吏くん、どうしよっか」
　「あっちのほうに迷子センターのテントがあったから。そこに行くぞ」
　「わかった」
　私が頷くと、私たちとユウキくんがはぐれないために魁吏くんはひょい、とユウキくんのことを抱っこした。
　わお、力持ち。