地味子、学校のイケメン二人と秘密の同居始めます!
 ・・・え、何この状況。
 私、ちゃんと告白したよね?
 ちゃんと『好きです』って言ったよね?
 でも、魁吏くんからの返事は返ってきていなくて・・・?
 だけど、私は今、魁吏くんに抱きしめられてて・・・?
 今もなお魁吏くんから、告白に対する返事はない。
 あれ、私告白したはず・・・だよね?
 「おーい、お待たせ〜!」
 「「!」」
 向こうから里穂と諒太さんがやってくるのが見えて、私と魁吏くんは体を離した。
 もう、20分も経ってたんだ・・・。
 全然気づかなかった。
 魁吏くんから、舌打ちをする音が聞こえてくる。
 そうしている間にも、里穂と諒太さんはすぐ傍にやってきた。
 「あれ、絢花どうしたの?顔が真っ赤だけど・・・」
 「・・・・・・」
 里穂の質問にどう答えたらいいのかわからず、黙り込む。
 そんな私を見て、里穂は何かを察したみたい。
 「・・・野暮(やぼ)なこと聞いちゃったみたいね」
 晶くんと椿ちゃんがやってくるのも見える。
 どうしよう、まだ魁吏くんに返事言ってもらってないのに。
 こんなモヤモヤした気持ち抱えながら、花火見ることになるなんて・・・。
 告白するのを、うじうじしていた私が悪いんだけど。
 「皆さん、お待たせしました」
 「おかえり、椿」
 これで、全員が揃った。
 花火の始まりは、もうすぐ。
 「・・・おい、コイツ借りるぞ」
 「え?」
 「来い」
 「ちょ、ちょっと魁吏くん!?」
 魁吏くんが急にスクっと立ち上がったかと思えば、私の腕を掴んだ。
 そしてそのまま、花火を見ようと河川敷に集まる人の流れに逆らって走り出す。
 腕を掴まれた私はどうすることもできず、ただ引っ張られるがままに魁吏くんの後ろを走る。
 振り返れば、里穂が不自然なくらいの笑みを浮かべて手を振っていた。


 「・・・はぁ、はぁ」
 「・・・・・・」
 私たちは今、人気のない小さなお堂の前まで来ていた。
 こんなところにお堂、あったんだ・・・。
 もうすでに、花火がいくつか空に咲いている。
 魁吏くん、急に走り出したりしてどうしたんだろう?
 「魁吏くん、どうしたの?みんなのところに戻らなくて大丈夫?」
 やっぱり、魁吏くんは何も言わない。
 ・・・さっき告白したばっかりだから、沈黙はものすごく気まずいんだけど・・・。
 打ち上がっている花火の音が、すごく遠く聞こえる。
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