地味子、学校のイケメン二人と秘密の同居始めます!
FIVE

文化祭

 いくらか日は流れて。
 あれから、驚くほどに何もなかった。
 また那々美ちゃんが押しかけてくるかな、とか郁弥くんがいよいよ私を連れ戻しにくるかな、とか考えてはいたけどそんなこともなく。
 平穏な時間だけが過ぎていった。
 一つ言うとすれば、あれから魁吏くんのことがますますかっこよく見えちゃって、顔を合わせたり話をするたびにドキドキしっぱなしってことだけ。
 私、流石に重症だよね・・・・・・。
 鋭い里穂にはすぐ気づかれて、「あの絢花のこんな恋する乙女姿が見れるなんて・・・・・・」って涙ぐまれちゃった。
 そんなこんなで、今はクラス会の時間。
 いつものように司会進行は晶くん、黒板担当が私ですすめる。
 今日の議題は2学期の目玉イベント、文化祭について。
 この学校は学年ごとに何をするかが決められていて、2年生は舞台発表をする。
 平たく言えば、演劇やダンスだ。
 多数決で、2年A組は白雪姫の演劇をすることにすんなりと決まった。
 運動神経が悪い私は、強制全員参加のダンスじゃなくて裏方でも大丈夫な演劇になってホッとしていたんだけど・・・・・・。
 ・・・・・・問題は役決めからだった。
 「じゃあ、白雪姫と王子役から決めようか」
 晶くんがそういった瞬間、クラスの女子たちが待ってましたと言わんばかりに沸き始めた。
 「王子は絶対魁吏か晶でしょ!」
 「合法で2人のコスプレ姿が見れるってことだもんね〜!」
 「魁吏か晶を推薦しまーす!」
 「は?」
 1人の女の子がそういった瞬間、魁吏くんは苛立ちMAXの声をあげた。
 「王子なんて誰がするかよ」
 「えーつれなーい」
 しかし女の子たちは全くめげない。
 じょ、女子は強しだ・・・・・・。
 今でこそ私も平気だけど、クラス替え直後だと絶対あの一文字ですくみ上がってるよ。
 そ、それにしても私も魁吏くんが王子をするのは嫌・・・かな。
 王子様の格好をした魁吏くんにクラスの女の子たち、いや学校中の魁吏くんファンがキャーキャー黄色い歓声をあげるところを想像すると、なんだかモヤモヤしてしまう。
 私の彼氏なのに・・・・・・って。
 いや、人を所有物として扱うのは良くないことなんだけど。
 私はすっかり欲張りになってしまったみたいだ。
 「まあいいや!じゃあ、晶やってくれる!?」
 「え?僕?」
 「おねがーい!」
 そういえば。
 私と魁吏くんが付き合ったことが全校中に知れ渡ってる今、ますます晶くんの人気があがってるって里穂が言ってたな。
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