.゚・*.ツインレイ.゚・*.♪。*.唯一無二の魂の片割れ .*.゚・*.~再会~
蒼き春の記憶
心地良い柔らかな光の差す電車の窓辺で頬杖を付きウトウトしていると、ふいに光輝く眩い光に照らされた。

まどろみの中、光を拒むようゆっくり眼を開くと、息を飲むほどに美しい夕映えの幻想的な景色に一瞬で釘付けになる。

まるで女神降臨を連想させる黄金色に燃ゆる満開の桜と静かな河川の水鏡が創る春の絶景、逆さ桜。

ガタンゴトン……揺れる車窓から連なる美しい桜と溢れる光の共演に時を忘れて見惚れていると、無条件に幸せオーラに包まれる。

待ち望んだ大好きな春の訪れを、ただただ幸せに浸れるのが堪らなく嬉しい。

今年は、例年より随分早い開花ね……。

限りなく満たされたまま河川敷に眼を移すと、お揃いのTシャツを着た少年達が少しずつ陽の落ち行くグランドでストレッチをしていた。

サッカーゴールが見える……青春ね。

微かに微笑む私の脳裏に懐かしい蒼き春の記憶が甦る。

生まれて初めての甘酸っぱい想い……
十年以上経った今でもふと想い出す。

その鍵は、サッカーと花火。

十七の私に初めてのトキメキを運んでくれた。

それ以上に焦げ付くような胸の痛みと絶え間なく溢れる涙、朝まで眠れぬ時を……。



__第〇〇回全国サッカー選手権大会。

高校男子サッカー部の頂点を決める決勝戦。

色とりどりのユニホームを着たサッカー少年達を中心に、満員の観客席は大いに盛り上がりを見せている。

いくら熱気に包まれていようが、一月半ばに差し掛かる真冬の競技場は風通しが良くとても寒い。

親友 絢の言う通り完全防備で来たにも関わらず、じっと座っていられないほど底冷えが酷い。

私は、元々寒さに滅法弱く試合に集中出来ずにいた。

絢には申し訳ないけれど早く終わることばかり願っていた。

サッカーには、全く興味ないけれど、私の一番の親友絢の彼の応援の為、二人夜行バスに揺られ到着したのは朝の六時。

お昼過ぎから始まった決勝戦は、やっと前半三十分で両チーム無得点。

流れは、彼のチームにあるのになかなか点が入らず、隣の絢は真剣な眼差しで必死に彼のチームの応援をしていた。

私も冷たい爪先を動かしながらボールの行方を追い続けるが、試合前に済ませたにも関わらずまたトイレに行きたくなってしまった。

すぐにトイレを終え通路から絢を探すが見つからず、焦ってキョロキョロ見回するはめに。
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