クールなご主人様は溺愛中
「里奈ちゃん、一緒に帰ろ」


悠くんに宣言された次の日、そう誘われた。


私、歩いて帰ることにしたって言ったかな。


「里奈ちゃんのことだから、星野宮に会うのは気まずいとか思って、登下校徒歩にしたでしょ?」


読まれてる......。



「うん......」


一緒に帰っても、いいのかな。


「行こ」


返事ができずにいると、手を掴まれて教室を出る。


「ごめんね、連れ出して」


「ううん。登下校を歩きに変えたのは、当たってるから」


「そっか」


「あの、でも、ごめんね、手......」


離して欲しい。


付き合ってないからとかじゃない。


まだ、私が冬夜くんを諦めきれていないから。


「ああ、ごめんね」


手を離されると、緊張していた身体が緩まった。
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