クールなご主人様は溺愛中
ああ、また言われてしまった。


「冬夜、あなたは朱莉さんと結婚するの。あなたの一存ではどうにもならない問題なのよ」


どうしても、自分が間違っているような気になってしまう。


「どうして、母さんはそこまでメイドを嫌がるんだよ?身分だけじゃねーだろ」


「......」


「答えろよ」


冬夜くんは、真っ直ぐにお母さんを見据えた。


「......私が、苦労したからよ」


「えっ」


思わず驚きの声が漏れる。


てっきり、お母さんも家柄の良いところから出たと思っていたから。


冬夜くんも同じだったようで、目を見開いている。


「......私はね、一般の、至って普通の家の娘だったの。ある日であったあの人に恋をして、私たちは付き合い始めた」


お母さんの話は、これからの私を予期させるようなものだった。
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