クールなご主人様は溺愛中
私を、誘拐?


「まずは、お前らを警察に突き出してやる」


話していても変わらないと判断したようで、冬夜くんはすぐに警察と自分の家に電話をかける。


電話が終わると、母と妹が見えないように私を座らせてくれた。


「大丈夫か?」


「......痛い」


絞り出した言葉は、それだけだった。


「ごめんな、遅くなって」


「ううん、ありがとう」


「......里奈!」


突然の大声とともに、私は冬夜くんに抱き寄せられる。


「うっ......」


冬夜くんのうめき声と鈍い音が同時に響いた。


「......え」


見れば、妹が金属バットを持っている。


私の体には冬夜くんの重みがあって、何があったのかいやでもわかった。


「......冬夜くん!」


その言葉と同時に警察と柴崎さんが部屋に入ってきた。
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