離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 抱き締めるようにお腹へ回された腕が動き、ぞくりと背筋が震える。

 智秋は私が喜ぶと思ってこう言っているのだろうか?

 妻を溺愛する夫の甘いささやきに聞こえるが、智秋は私が最も望んでいる言葉を言わない。

 好きだ、と言ってくれれば私は彼のすべてを信じられる。

 演じるのが得意な人であっても、それが嘘かどうかは不思議と見抜ける自信があった。

 そして可能ならキスをしてほしい。

 混浴はしても智秋は私を求めず、同じベッドで眠るだけの夜を迎えている。

「ふーちゃんが聞いたら怒るよ」

「だから聞かれないように寝たのを見計らって言ってるんだ」

 智秋は楓花にとって完璧な父親だ。

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