離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 妊娠についてどうして知っていたのだろう。唯一知っている母が智秋と連絡を取るとは思えないし、医者だって言うわけがない。

 私が妊娠していなければこっそり身辺警護をさせなかったのだろうか。こうして再び顔を合わせることもなかった?

 一気にいろんな情報が押し寄せて頭の中がまとまらない。

 そんな私の手を握った智秋は、さらに言葉を続ける。

「咲良、もう一度結婚しよう。こんな状態の君をこれ以上放置できないし、したくない」

「でも……」

 あなたは困るんじゃないの?

 そう思ったから身を引いたのに、智秋はまた私と夫婦になろうと言う。

 焼けつくような思いが胸の内に走った。

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