離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 自然と鼓動が速くなったのを気づかれないように、智秋の手を握り返して笑った。

「またよろしくね」

 私を瞳に捉えた智秋は、少しだけ満足しているように見えた。



 智秋と再会し、二度目のプロポーズを受けた直後に陣痛がきた。

 そして八時間にも及ぶ戦いのあと、私たちの間に楓花(ふうか)というかわいらしい娘が生まれた。

 父親によく似た美人だと思ったが、もしかしたら親ばかなだけかもしれない。

 結婚すると決まってからの智秋の行動は早かった。

 私が入院している間にさっさと必要な事柄を済ませ、婚姻届を用意し提出。

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