離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 こうして私は母と暮らしていた実家を出て智秋と暮らすことになった。

 以前彼が借りたマンションではなく、京都の旅館たちばながこれからの住所だ。

 身辺の整理を終えて彼のいる京都に訪れたのは、私が楓花を産んでからひと月ほど経ってからだった。

「初めまして。橘咲良と申します」

 旅館とは少し離れた場所に位置している奥の棟が私と智秋、そして楓花の家となる。

 智秋に案内されたそこには彼の両親が待っていた。

「この子が……智秋さんとの娘になります」

 着物を着た義母とぱりっとしたシャツに身を包んだ義父が、座布団から腰を上げずに私を見つめている。

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