離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 好き合ってした結婚ではないのだと私の口からは言いたくない。

「咲良の思う夫婦とは違う?」

「……わからないけど、ちょっとどうしたらいいか困ってる」

「素直だなあ」

 ぎゅ、と智秋が私を抱き締めて息を吐いた。

「俺に触られるのは嫌いじゃないよな」

「うん。……嫌いじゃない」

 むしろ好きだ。智秋の手は優しくて、私を特別な気持ちにさせてくれる。

 気づけば私は、お腹の上に添えられていた智秋の手を握っていた。

「いろいろありすぎて結構いっぱいいっぱいなの。だからもう少しゆっくり進めない?」

「……焦りすぎたか」

 智秋が私の手を握り返し、指を絡めて手のひらを重ねる。

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