離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 着物の着こなし、女将としての心構えにお客様への対応。ちょっとした言葉遣いひとつでも間違えれば叱責が飛ぶ。

 昼食を終えると今度は事務作業と作法の勉強が待っている。

 たちばなが由緒正しい高級旅館だと改めて実感したのは、作法の種類の多さを知ったときだった。

 華道、茶道、書道、香道と部活でしか縁のないものばかり。私のためにと選ばれた先生たちは皆、その道では国宝のような扱いをされている人たちで、いつも必要以上に緊張してしまう。

 秘書課で働いた経験がなければ事務作業にも苦戦していただろうと思うと、今の状況はまだ易しい方かもしれない。

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