離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 自分だって若旦那の仕事で忙しいくせに、たった五分の隙間時間でさえ私のために使ってくれるところをまた好きになった。

 たまに従業員へ向けて仲のいい夫婦をアピールしているのではないかと感じるときもあったが、智秋の性格を考えればあって当然だ。

 どこまでが演技でどこまでが真実なのかわからないまま、甘やかされて愛される。

 なにも考えずに受け入れれば幸せになれると知っていても、心の奥底には寂しさがあった。

 あまり思い悩む暇がないのは、若女将になってよかったことかもしれない。

 もっとも母譲りの前向きな性格を自覚しているから、たとえ若女将にならなくても楽観的に考えていた可能性はあるが。

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