吉良くんの弱愛なところ。
平然としているふうに、首を傾げた。
吉良くんは、わたしの質問に答えてくれない。
負けじと見つめ返していたら、彼は根負けしたように肩を落とした。
「……別に」
そう簡潔に言うくせに、帰ろうとしない。
なんとも言えない雰囲気に居たたまれないのはお互いで、どうしようか……と頭を抱えそうになったそのとき。
突然わたしのスマホが、メッセージの通知を知らせた。
慌てて見ると、英梨ちゃんから『まだ〜? みんな待ってるよ』と催促するラインが一通。
いよいよ行かなければならない時間になってしまって、急いで自分の席にあるスクバを掴んだ。
「吉良くんっ、また明日!」
本当はもっと話したかったけれど、仕方ない。
英梨ちゃんに行くって言ってしまっているぶん、ドタキャンはできないから。