カクレンボ
 お互いに席に座って、ご飯を取り出す。空くんはコンビニのお弁当で、私はパン。料理のできる雪くんなら、自分でお弁当を作るんだろうな。実際クラスで何度も雪くんのお弁当を見てきた。ことしも私と雪くんだけは同じクラスになった。桜ちゃんと空くんは離れ離れになっちゃった。

 阿吽の呼吸であったいただきます。1口入れて飲み込んで次を食べようとしたら、空くんが本題を口にした。

「それで?相談って?」

「空くんと桜ちゃんは、付き合ってるんだよね」

 誰もいないから余計に響く……。空くんはモグモグと弁当を食べて、キョトンとしている。そっか、空くんは私に言ってないもんね。でもそのすぐ後に、納得したように頷いた。

「桜から聞いたのか。そうだぞ。付き合ってる。だからこの現場を見られたら速攻アウトだ」

「そこは私に免じて許してもらうよ。桜ちゃんだって今頃、雪くんと話してる頃だよ」

 雪くんも、今日桜ちゃんに相談するって言ってた。

 ここなら、別に話すくらい許してくれる。ハグとか手を繋ぐとかまで行っちゃうと、流石にアウトだろうけど。

「私たち、バラバラにならないよね?」

 あっけにとられたような顔で私を見てくる。私は手に持ったパンを一口かじったきり、そのパンを持ったまま。

「大丈夫だろ。花見の時はもう俺とさくらは付き合ってた訳だし」

「……」

 拭いきれない不安。心に残るモヤ。後ろ向きな言葉は余計に不安にさせるのに、こういう時の前向きな言葉は、なんで前向きになれないんだろう。

「あの時だって寝てる華を俺に任せてたんだぞ。一昨日だって夜ご飯食べるのに4人で集まってる。おまえが心肺するほど脆い仲じゃないさ」

 私は、返事に迷っている。わかってる。でも…

「華、もしおれたちに気を使ってるなら。遠慮しなくていいぞ」

 空君まで……。そこまで言われると自分を疑いたくなる。

「私って、そんなにわかりやすいの?自覚ないんだけど」

「まぁ…俺らだから。だろうな。、」
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