カクレンボ
飛花落葉
芽生える二葉
あの日から数日。中々機会を伺えなかったけど、今日は意を決して空くんの教室に訪ねてみた。
教室を訪ねたのは、3限目が終わった休憩時間だった。空くんの教室に顔を出したけど空くんは他の友達と話してたから、帰ろうかと思った。
『おい空、あれお前目当てじゃないか?』
『ん?……おお俺だ。ちょっと行ってくる』
空くんは友達に手を振って私の方に来た。どこかに囲まれていても、空くんと雪くんと桜ちゃんなら、すぐに見つけられる。
『どした?珍しいじゃんひとりで』
『今日、お昼一緒に食べよ』
『お?いいけど。どした?』
『相談があるんだけど』
『ああ、いいけど。じゃあ図書室でいいか?誰も来ないだろうし』
そういう会話の流れで、私は今図書室の前にいる。なんで前かと言うと、鍵がかかっていて開いていないから。
悩みながら、迷いながら待っていると、背後からの足音に意識を奪われた。
「悪い遅れた」
「んん。大丈夫。でも」
開いてない。閉ざされた扉が、私達の行く手を阻んでいる。私はどうする?みたいな目で空くんを見る。
空くんはそんなこと知ったこっちゃないと言わんばかりにドアにより近づいた。そしてポケットに手を突っ込んで鍵を取り出した。
「なんで図書室の鍵持ってるの?」
「鍵借りに行ってた。今学期は図書委員なんだ」
「え?空くんが?」
「ああ。俺が」
「絶対体育委員かと思ってた」
「別に委員会なんてなんでもいいからな。それに図書委員はこうやって密会だってできる」
ガチャリとかけられた扉の中には、当然誰もいなくて伽藍堂と化した教室には、本がたくさんあるから少し圧迫感がある。本が好きな雪くんなら、きっとこういう空間は落ち着くんだろう。
「適当に座っていいぞ。扉閉めちゃえば誰も来ないだろうしな。ゆっくり話せる」
空くんが図書室の扉を閉めた。今まで聞こえていた騒がしい人の声は、半分くらい遮断されて、静かな空間に早変わり。初めて図書室に来たけれど、思ったより広い。ぎこちない感覚が残っていて私はまだ図書室内を見渡している。
「ゆるキャラマスコットか。とりあえず座れよ」
空くんが冗談と笑い混じりに言ったのを、私も笑った。空くんが指さした4人がけの机。自然と4人で座る幻影が見える。
そして私が座ったのは、いつもの定位置。四角だと考えたら、右下の角。そして左下の角を雪くん、私の正面に空くん、雪くんの正面に桜ちゃん。空くんもいつもの位置に座った。席なんて決まってないけど、いつの間にかここが、私達の席になっていた。
教室を訪ねたのは、3限目が終わった休憩時間だった。空くんの教室に顔を出したけど空くんは他の友達と話してたから、帰ろうかと思った。
『おい空、あれお前目当てじゃないか?』
『ん?……おお俺だ。ちょっと行ってくる』
空くんは友達に手を振って私の方に来た。どこかに囲まれていても、空くんと雪くんと桜ちゃんなら、すぐに見つけられる。
『どした?珍しいじゃんひとりで』
『今日、お昼一緒に食べよ』
『お?いいけど。どした?』
『相談があるんだけど』
『ああ、いいけど。じゃあ図書室でいいか?誰も来ないだろうし』
そういう会話の流れで、私は今図書室の前にいる。なんで前かと言うと、鍵がかかっていて開いていないから。
悩みながら、迷いながら待っていると、背後からの足音に意識を奪われた。
「悪い遅れた」
「んん。大丈夫。でも」
開いてない。閉ざされた扉が、私達の行く手を阻んでいる。私はどうする?みたいな目で空くんを見る。
空くんはそんなこと知ったこっちゃないと言わんばかりにドアにより近づいた。そしてポケットに手を突っ込んで鍵を取り出した。
「なんで図書室の鍵持ってるの?」
「鍵借りに行ってた。今学期は図書委員なんだ」
「え?空くんが?」
「ああ。俺が」
「絶対体育委員かと思ってた」
「別に委員会なんてなんでもいいからな。それに図書委員はこうやって密会だってできる」
ガチャリとかけられた扉の中には、当然誰もいなくて伽藍堂と化した教室には、本がたくさんあるから少し圧迫感がある。本が好きな雪くんなら、きっとこういう空間は落ち着くんだろう。
「適当に座っていいぞ。扉閉めちゃえば誰も来ないだろうしな。ゆっくり話せる」
空くんが図書室の扉を閉めた。今まで聞こえていた騒がしい人の声は、半分くらい遮断されて、静かな空間に早変わり。初めて図書室に来たけれど、思ったより広い。ぎこちない感覚が残っていて私はまだ図書室内を見渡している。
「ゆるキャラマスコットか。とりあえず座れよ」
空くんが冗談と笑い混じりに言ったのを、私も笑った。空くんが指さした4人がけの机。自然と4人で座る幻影が見える。
そして私が座ったのは、いつもの定位置。四角だと考えたら、右下の角。そして左下の角を雪くん、私の正面に空くん、雪くんの正面に桜ちゃん。空くんもいつもの位置に座った。席なんて決まってないけど、いつの間にかここが、私達の席になっていた。