首取り様1
「し、知らないわ。なんのことを言っているの?」


「知らないわけないだろ? あそこの地蔵のことだよ」


大輔が一歩前に出て更に問いただす。


女性は後ずさりをして左右に首を振った。


さっきまで人好きそうな雰囲気がしていたのに、地蔵の話を出した途端に逃げ出しそうな雰囲気になっている。


なにかあるんだ。


直感的に沿う感じた。


しかし佳奈が女性に質問するより先に、女性は駆け出していたのだ。


「あ、ちょっと!」


慌てて後ろから呼び止めても女性は振り向かない。


加害者から必死に逃げる被害者のように、あっという間にその姿は見えなくなってしまったのだった。
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