首取り様1
☆☆☆

街を歩いていても誰にも出会わない。


家から明かりが漏れていても誰の声も聞こえてこない。


聞こえてくるのは5人分の足音だけだ。


「野良猫にも出会わないなんて」


美樹が呟き、怯えたように佳奈に身を寄せた。


佳奈も美樹にぴったりとくっつくようにして歩く。


夜中に家を抜け出した経験は何度かあるけれど、これほど静かな夜は初めてだ。


本当に別世界に来てしまったように感じられて、夏の熱さを忘れて行く。


「みんなも来るのか?」


一番前を歩いていた大輔が立ち止まって聞いてきた。


大輔はこれから春香の家に行ってみるのだ。


「あぁ。やっぱり、気になるしな」


慎也は即答する。
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