首取り様1
「そんなはずないじゃん」


佳奈が立ち上がって急ぎ足で厨房を覗いだ。


慎也が冗談を言っているのだと思ったが、それは冗談ではなかった。


広い厨房内に人の姿は見えない。


それならファミレスは閉められているはずなのに、ドアは開いていた。


一体どういうこと……?


ただの買い出しならもう戻ってきてもいいはずだ。


なにせ今は夜中だし、自分たちも客としてきているのだから。


「とにかくここを出よう」


呆然と立ち尽くしていると慎也が後ろから声をかけてきた。


「う、うん」


佳奈はぎこちなく頷き、ファミレスを出たのだった。
< 19 / 182 >

この作品をシェア

pagetop