首取り様1
☆☆☆

夜中の街ってどうしてこう顔が違うんだろう。


昼間とは全然違う。


佳奈は1人で美樹の家へと向かっていた。


肌に張り付いてくる外気はベットリと生ぬるく、気味が悪い。


足元は底なし沼でできていて、少し歩くだけでぶずぶずと沈んでいってしまいそうな気分になってくる。


なんといっても、そこの角を曲がれば昨日の黒い化け物が出てくるのではないかと、不安で仕方がなかった。


それでもどうにか何にも遭遇せずに美樹の家までやってきた。


大きな家を見上げて門柱をとおりぬけて玄関へ急ぐ。


少し躊躇したが、そのままチャイムを鳴らすことにした。


ここまで10分ほど歩いてきたけれど、昨日と同じで誰ともすれ違うことはなかった。


犬や猫、鳥の羽ばたきすら聞こえてこない。


きっと、美樹の両親もいないはずだ。


チャイムを鳴らしてからしばらくすると足音が聞こえてきて玄関が開いた。


「美樹」


中から出てきた美樹の目は真っ赤で、顔は真っ青だ。


「夢を見た?」
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