首取り様3
その笑みに背中がゾクリと寒くなった。


智子の視線が空へ向かう。


佳奈はつられるようにして視線を向ける。


丘の向こうから光が上がってきているのが見えた。


嘘でしょ。


もう夜明け!?


大きく息を飲んで、そのまま呼吸を忘れてしまう。


「くそっ! まだ上がるな!!」


大輔が太陽へ向けて叫ぶ。


しかし太陽は容赦なく街を照らし始める。


光が佳奈たちの元まで届くのに、数分しかかからなかった。


その光は首無し地蔵も照らし……5体目の首がついていた。


石化した一生の顔が、しっかりと目を閉じてそこにある。


あ――。


佳奈も春香も大輔も明宏も、みんな言葉がでなかった。


今まで地蔵に首がつかないように必死に頑張ってきた。
< 141 / 142 >

この作品をシェア

pagetop