首取り様4
涙が滲んだ薄目を開けて、息を吸い込む。


「よかった、春香!」


「早く、こっちにこい!」


余韻に浸っている暇もなかった。


声がした方へ視線を向けると、1人の男性が猟銃を持って立っていたのだ。


この銃口からは煙が出ている。


あれは誰だろう?


自分たちを助けてくれたに違いないが、一瞬とまどいが走った。


そうしている間に倒れた地蔵の手足がピクリと動いたのを見た。


「こいつ、死んでない!」


大輔は叫び、春香を支えて起こすと走り出した。


「こっちだ」


男性について走ると黒い化け物たちが前方から迫ってきた。


一度立ち止まった男は猟銃を構えて的確に化け物を倒していく。


銃で打たれた化け物たちは一瞬で倒れ込み、そしてもう二度と起き上がることはなかった。


「ここに入れ!」


わけもわからないまま走ってたどり着いたのは、一軒の小さな家だった。
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