首取り様4
「柏木家に戻ればわかるかもしれないよ」


春香が声を震わせて言った。


「そうだな。あそこには今イケニエになっている連中の親が集まってるんだもんな」


明宏が何度も頷く。


親が集まっているということは、彼らの胴体もあの家にあったのかもしれない。


自分たちに客間しか見せなかったのは、それがあったからなのかも。


佳奈はそう感じられてきていた。


「もし、首が戻っっていなかったら?」


不意に春香がつぶやいた。


それは最も恐れていることだった。


伝説や言い伝えの中ではこの刀で事態を収束できると思われているが、現実では違う場合だ。


伝説や言い伝えが必ず正しいと言い切れない。


「きっと大丈夫だよ」


佳奈はそう言うしか他なかった。


今はただ信じるしかない。


地蔵の首から開放された頭部は、ちゃんと元に戻っているのだと。
< 89 / 135 >

この作品をシェア

pagetop