彼は私を偏愛している
亜舟と雛菜は、その日のうちに婚姻届を出した。

正式に夫婦になり、阿久津の屋敷で父親と三人で暮らしている。

この日から雛菜は、まさに“籠の中の鳥”になった。


「おはよう、ヒナ」
「ん…」
朝起きると、亜舟の腕枕でしっかり抱き締められている。

一緒に起きて、ダイニングに行くと父親が待っていて三人で食事する。

大学の送り迎えは亜舟が行い、大学内でも阿久津の使用人が常に同行し監視されている。


瀬里や未華子とは話はできるが、頼廣や他の男子とは関わりを禁止されている。



少しずつ、雛菜の中の“自我”がなくなっていく。



「ヒナ、大好きだよ」
「私も、亜舟くんが大好き」

「ヒナ、僕と一緒に落ちてくれる?」
「うん、いいよ!」

「僕と一つになってくれる?」
「もう、一つだよ」



「ヒナ、僕から放れないでね」
「うん」

「僕から放れたら━━━━」



「ヒナを殺して、僕も死ぬから━━━━━」





亜舟は毎日のように、雛菜に言い聞かせている。


まるで、催眠術にかけるように……



亜舟の歪んだ愛情が、雛菜を侵し放れられなくさせた。






そして今日も亜舟は、雛菜を偏愛している━━━━


















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