一途な淫魔の執着愛〜俺はお前しか一生抱かない〜

聖なる翼に愛を捧げる 日和side

 赤と緑、この色をみてまず何を連想する? あの有名なカップうどんと蕎麦? いいや、違う。この一年でケーキ屋がもっとも忙しいクリスマスだ。もう地獄のように疲れるけれど、天国のようにお客さんの喜んだ顔が見られるというまさに天国と地獄。その日が刻一刻と迫っていた。
 店内はクリスマス仕様にきらびやかに装飾されている。ほとんど綾乃がネットで注文して飾り付け、店に入ってすぐ横に置いてある大きなクリスマスツリーは開店当初から毎年この時期になったら出しているものだ。星の飾り、金や赤のボールに紅白の杖、今にも鳴り出しそうなベルにキラキラ光る電飾、各々のオーナメントがいい具合に混ざり合って一つの綺麗なクリスマスツリーを完成させる。
 なんてきれいなんだろう……なんて見惚れている時間はない!
 予約注文を受けたケーキ作りの段取り、材料の発注、当日の店売りのケーキの準備。やることが多すぎる! 今年は洸夜の会社の婚活パーティーもあったおかげか例年の倍以上の予約をもらっている。はきりいってクリスマスを楽しむ余裕なんてなさそうだ。


「今年もクリぼっち……」


 キラキラした店内とは裏腹にどよんとした綾乃の一言がこだまする。


「あ、綾乃? 私だって仕事で忙しくてクリぼっちだよ?」

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