一途な淫魔の執着愛〜俺はお前しか一生抱かない〜

洸夜side

 日和に抱きしめられると心が波がなく、静かで大きな海を見ているような、穏やかで優しい気持ちになる。なんだか懐かしささえ感じてしまうほど、心地よい。温かくて優しくて……甘い日和の匂いが息をするたび鼻に入ってくる。毎日こうして一緒に寝られたらいいのに。一緒に寝て、肌と肌を触れ合わせ、おやすみと眠る。それが叶ったらどんなに毎日幸せだろう……逆に日和を失ったら……高熱にうなされ日和が近くにいるのにも関わらず急激に寂しく、孤独感に襲われた。
 ――日和だけは失いたくない。
 母親が突然いなくなったあの日のような大きな喪失感はもう二度と味わいたくない。


「日和、寝た?」
「ううん、起きてる」
「じゃあさ、このまま俺の顔見ないで聞いてくれ」


 高い熱のせいか、急な孤独感からか、口から弱音を吐こうとしている。


「うん……」


 小さな温かなぬくもりを再確認するように背中を擦った。大丈夫、日和はここに居る。

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