一途な淫魔の執着愛〜俺はお前しか一生抱かない〜
「馬鹿野郎!!! 好きな女に使うかよ! 確かに淫魔は女をその気にさせるフェロモンは出せるけど、俺は今まで一回もフェロモンをだしたことなんか無い。そんな精気を吸うために女を惑わすものなんて使わない。俺は日和しか抱きたくないんだから」


 背中に感じていた温もりがぐるりと身体を回されぎゅうっと力強く大きくて広い洸夜の胸の中に抱きしめられる。
 あぁ、なんて愛おしいんだろう。自分だってもう一生知ることはないと思っていた過去の真実が明かされ、動揺しているはずなのに洸夜は自分のことよりも日和を心配してくれている。洸夜に触れられて嫌なはずがない。むしろこうして優しく抱きしめてもらえると荒れていた心がだんだんと穏やかになっていく。


「あんたの事……嫌じゃないっ……」
「よかった……本当に俺なんかのためにあの場に残ってくれてありがとうな。日和が強がって側にいてくれたから俺は真実を知ることができた。本当は一刻も早く立ち去りたかったはずなのに……どうして、どうしてお前はこんなにいい女なんだよ。一生離さないからな」


 ジリっと濃くなる空気はキスをされる予兆をあらわす。お互い涙で濡れた頬を包みあい唇を重ねた。もうこの唇しか日和の身体は受け入れてはくれない。温かくて優しい唇に包み込まれてフッと今までずっと気を張っていた身体から力が抜け落ちた。ガクンと膝から崩れ落ちる。


「っと、日和大丈夫か?」


 崩れた日和を洸夜はしっかりと抱きとめた。


「ご、ごめん。なんだが気が緩んじゃったみたい……」
「謝ることじゃない」
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