イジワルな君の一途で不器用な恋心

教科書とノートをスクールバッグにしまっていると、新菜に呼ばれた。二つ返事で了承し、席を立って彼女の後を追う。



「あっ、ごめんね。わざわざ来てもらって」

「ううん、全然」



連れてこられたのは立石くんのところだった。



「足、大丈夫? 毎時間立ち上がってるけど」

「大丈夫。挨拶する時は窓の縁に手かけてるから。今朝はマジでありがとう。助かりました」

「いえいえ。何か困ってることとか手伝えることがあったら言ってね。力になるから!」



右腕を90度に曲げてマッスルポーズをする。


席は離れてるけど、3年目の付き合い。

これまでにもフリースローのコツやスパイクの打ち方を教わったりと、たくさんお世話になってきたから、少しでも恩返ししないと。



「じゃあ……お言葉に甘えて。早速いいかな?」

「どうぞどうぞ!」



即答すると、椅子に座ったまま全身を私の真正面に向けた。

笑みを浮かべていた顔が神妙な面持ちに切り替わり、太ももに手が置かれると……。



「お願いします!! スポーツ大会の競技、俺と代わってくださいっっ!!」
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